左手の痺れ



 どうしてだろう?どうして1時間の短い仮眠の間に私は君の夢を見たんだろう?

 君は私に会うために格安のチケットを探している様子。私の都合に合わせようと会える日を尋ねてくる君。その嬉々とした表情は文字からも十分に伝わってきて、困惑している私の表情など全くお構い無しの様子だ。

 確かにこの間君は私の愛を欲しがったけど、行為の後私の心を見透かしたように何も喋らず私の前から消えて行った。それから1週間もしないうちに私は君の夢を見ている。嬉しさへの困惑と、不安への困惑の両方を覚える夢を。

 私は、この間君の体から搾り取ったはずの言葉を、聞きたがっているのだろうか?いや、一回だけ聞いたはずの言葉は私の勘違いで、君に翻弄されていたのだろうか?そして君にあの言葉を言わせたかったのは、最初から私の方だったのだろうか?

 夢から醒めた時の左手の痺れがまだ治らない。あの日の朝、君が左手の痺れだけを残して消えてしまった事を思い出してしまった。



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