いとおしさ



 ズボンを脱がし貴方をそこへ置いてある木製の椅子に座るよう促す。腰掛けた貴方の前に跪き、用意してあったロープで貴方の足を椅子の脚へ縛りつける。脚を縛られる貴方の表情を見たくて見上げると、丁度後ろの窓越しに、今にも消えてなくなりそうな月が見えていた。

 何をされるかわからない貴方の不安げな表情が堪らなかった。それもそのはず、いつもならお互いにシャワーに入り、他愛も無い会話をしながら情事を楽しんでいるはずの時間なのだから。きっと貴方はいつもと変わらない気持ちでこの部屋に来たことだろう。

 しかし今日の私は違っていた。私は今朝からどうしても貴方を独占したい気持ちに駆られて、その欲求を満たすためにこの部屋に呼んだのだ。方法はどうでも良かった。ただ貴方を独占したい欲求に駆られたのだ。

 足を縛り終わり、貴方の目を見つめながら私は貴方の手を取った。そのまま椅子の後ろに周り、両足を縛っても尚余りあるロープを手繰り寄せて、貴方の両手を椅子の後ろに縛り付ける。

 その気になれば椅子ごと倒れる事は出来るのだろうけど、今貴方は私に手足の自由を奪われ、私さえその気になれば貴方に食事も与えず水も飲ませず、殺してしまうことも出来る状態になっていた。

 それを思うと私は堪らなく興奮してきた。今、例え遊びとは言え貴方は私に独占されている。手足の自由を奪うという形で貴方は私の所有物となっているのだ。私は貴方の目を見つめまるでお別れをするような気持ちでくちづけをする。そしてタオルで貴方の視線を遮る。

「何があっても声を出しちゃ駄目よ。」

 私はそう一言だけ言い、さっき足を縛った時と同じように貴方の前に跪いた。そして目の前にある貴方の股間にそっと手を伸ばし、下着の上から貴方の物に手を触れてみる。

 貴方の体が一瞬だけ反応する。何をされるかわからない恐怖も感じていたのかも知れない。やや硬直した貴方の太腿にもう片方の手を置き、まるで子猫を撫でるかのように優しく手を滑らせてみる。そして股間に置いている手もゆっくりと動かしてみる。

 何をされるのか気が付いたのだろうか。貴方の太腿の緊張は取れ、代わりに下着の下の貴方のものが硬直し始めてきた。大きくなる貴方のものに動きを合わせる様に、私も手を動かす場所を変えていった。

 自由を奪わなかった貴方の口から洩れる息が、荒くなっていくのがわかった。その息が私の耳には心地よく響き、私の中の独占欲を更に満足させていった。

 貴方の息が荒くなり始めてすぐに、貴方のものは下着の上からではっきりとその形がわかるぐらいに大きくなっていた。私はその形を確かめるように貴方のものの周りを指でなぞってみる。私が指でなぞる度に脈打つ貴方のものは少し滑稽にも見えた。

 一頻り指で貴方のものを弄んだ後、私は貴方の太腿に両手を乗せ、大きくなった貴方のものに下着越しにキスをした。始めは軽く上から下へ何度も、そして最後には唇が潰れるぐらい貴方のものに唇を押し当てていた。

 更に荒くなる貴方の息を聞きながら私は思った。これまで幾度無く貴方と繰り返された情事の事を思い出してみても、貴方のものや貴方自身がこれほどまでにいとおしいと思ったことは無い。愛してるだとか、大切だとかと言う表現では無く、貴方がいとおしくて堪らなかった。

 唇を押し当てている間も貴方のものは時折、脈を打っていた。私はその脈打つものを両手で挟み、舌を這わせてみた。その舌の動きに合わせ反応する貴方のものを見ながら、私は更にいとおしさを深めていった。

 私はそのまま舐め続けた。すでに貴方のものから染み出る液体で、下着の上の方は濡れていたのだけど、更に濡れるように下着の上から貴方のものを舐め続けた。

 暫く舐め続けていると、貴方のものの脈打つ速度が速まってくるのがわかった。私の唾液で下着越しにはっきりと姿を現した貴方のものはそろそろ限界に近づいているようだった。

 私は舐める速度を早くするわけでも無く、唯いとおしさの中で貴方のものを舐め続けた。独占欲と今までに無い貴方への想いの中で私はひたすら貴方のものを舐め続けた。

 声を出してはいけないと言う私の忠告を守り、貴方は最後まで声を出さなかった。貴方が絶頂に達した瞬間も貴方は息を止めるだけで、声は漏らさず私の独占欲の中に居てくれた。

 何故だかわからず涙が零れ、見上げる貴方の顔が滲んで見えた。貴方の後ろの窓越しに見えていたはずの月も何処かへ行ってしまっていた。私は貴方の腰に手を回し、私の唾液と貴方の精液とで滲んでしまった下着に顔を埋めた。

 普段はあんなに嫌がっていた匂いも今は心地よく、いとおしくて仕方が無かった。





HOME BACK