春だ。

 春はサカリの季節だ。そこかしこでツガイが盛んにサカッている。「性欲」という名の欲望を「愛」だとか「恋」だとかいうヌルいオブラートに包んで、互いにそのヌルい部分を舐めあってる。久しぶりの甘いオブラートの味に惑わされ、舐め続けるツガイ達。オブラートが非常に薄いというのを忘れてしまい、中の「性欲」の部分が全て露呈するまで舐め続ける。

 さあ、「愛」も「恋」も舐め尽された。

 後は「性欲」の赴くがままその欲望を満たすがいい。二人だけの世界を作り出し、周りの視線も気にせず思う存分コウビを繰り返すがいい。飲まず食わず、次の満月の夜が来るまで舐め続けたオブラートの味だけを頼りに、コウビを繰り返すがいい。

 次の満月の夜にはツガイ達の残骸だけが、海には漂っているだろう。脱皮をして母なる海に戻る者あり。脱皮に間に合わずに死に果ててしまい、カラスにつつかれる者あり。

 春の風と桜と満月。

 惑わされぬものありやなしや。



 春はサカリの季節だ。





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