アホな事だけ考えて毎日を生きればいいのに



 まあいいか、って時々思う。本当に「まあ、いいか。」って。色々考えを巡らせていくと、元々二人は赤の他人だったわけだし、全く連絡が無かったって、その頻度が落ちたって、例えば今二人の関係が終わったとしたって。別に明日が来ないわけでも無いし、別に私やあの人が死ぬわけでも無いし、元々何も無かったって思えば只それだけの事で。

 意外とアッサリしたものだと思う。男がいなくて寂しけりゃ別の男を捜せばいいだけだし、あの人もきっと何のためらいも無く新しい女見つけるだろうし。きっと今この人だけなんて考えてるのは、もしかすると脳内の電気信号の回路がちょっと壊れてるだけなのかも知れないし。きっとその回路が治ってしまえば、あの人のことなんか何とも思わなくなってしまうかも知れないし。

 私はあの人の大いなる愛に包まれてたんじゃなくて、大いなる勘違いにほだされてた、って思えば全てが納得がいく。結局私もあの人も人間で、愛という名前の織物を淡々と紡ぎ出していく機械にはなりきれなかったと思えば全てが納得がいく。きっとこの前の言葉もあの人の回路が壊れてしまっていたから口から出てきてしまったんだと思う。

 「俺はお前の事を今まで傷つけたり泣かせたりしてきた。だけどその事について只の一度も後悔や悪かったなんて思った事は無い。その代わりというか、だからこそ誰かにお前が傷つけられたり泣かされたり、お前の精神や肉体がほんの少しでも何かに揺さぶられるような事は絶対に許せないと思っている。例えばその相手が誰であろうと、言い過ぎかも知れ無いけれどそれが運命であろうと、俺はその行為を全力で阻止するよ。何も束縛する気なんて一切無いよ。只、俺の女の魂を揺るがす奴は絶対に許さない。只それだけだ。」

 思い出すんじゃ無かった。「まあ、いいか。」じゃ済まなくなってきた。出来ることなら私の脳の回路もあの人の脳の回路も永遠に壊れ続けていて欲しいと思ってきてしまった。本当に二人して機械になって永遠に愛を紡ぎ出す機械でいたいと思ってきてしまった。

 私はいつもこうだ。たかが人間のくせに物分りのいい振りをしてみてはいつも堂々巡り。回路が壊れてるんならどうせまともに物なんか考えられやしないのに。私があの人の燃料で、あの人が私の燃料で、機械になんて絶対にマネ出来ない永久機関に二人はなれる、とかアホな事だけ考えて毎日を生きればいいのに。





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