可愛い女



 不思議なものでどうしようもなく可愛い女というのが居る。

 例えば「天真爛漫でまるで天使のような」と表現する人もいるのだろう。だけど私の中にはそんな一生に一度見れるか見れないかの満天の星空を仰ぐような心境には至らなくとも、例えばその子が何処までもいやらしい心を持ち合わせていたとしても、例えばその全てを決して他人には語ることの出来ないような人生を送ってきていたとしても、その子が其処に存在している、生きている、というだけで可愛くて仕方が無い、と思ってしまう女というのが存在する。

 駆け引きなんか存在しなくてもいい、逆にいくらでも駆け引きをしたくなる。自分の事でイッパイイッパイなのに自分の事以上に人の心配してみたり、そのくせ何も出来ない自分の不甲斐なさに地団駄踏んでみたり。誰よりも可愛がられていつまでも揺られて居たいのに、それを求めすぎる自分の心に意気消沈してみたり。

 単純に、女が自らが持つ矛盾のなかで必死になりながらバランスを取って歩いていく様に絆されるのかは分からない。けど、叶うのであれば出来るだけ近くに寄って、その可愛い様を見続けていたいと思ってしまう。

 決して手に取ることの出来ないその可愛さを、本当の羽根を手に入れて、揺られる場所が決まるまで見ていたいと思う。でも時折その揺られ加減に飽きて、揺り篭を飛び出して川の土手で月を一晩中眺めていそうなのが、また可愛い。





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