だから私は奪う



 結局は何も与えてはあげられないんだよ。言ったよね、いつまでも一緒には居られないし傍には居られない。君が前へ進む事を応援してはあげられても、一緒に前へ進む事は出来ないんだよ。それどころか私に心をと時間を割くという事は、きっと君にとって物凄く後ろ向きのことで。

 いつまでもその場所に居るっていう事は、次の瞬間過去になってしまうってことで、後ろ向きのことなんだよ。常に、常に前に進んでいかないと。想いだけでは心も体も満たされはしないんだよ。その事を君は良く分かっていながら、自分に言い訳をして自分に言い聞かせてその場所に居ようとしている。

 言葉が欲しいのも、欲しい言葉も欲しくない言葉も。時間と体とその思想と思考と信念と想像と。欲望と枯渇する心と。手に入れれば手に入れる程苦しむのは君なんだよ。君がいくら辟易しても、諦めなくても、例えば諦めても。始まってしまったものは決して終わらないし、結末と結果を欲しがった時に全ては終わりを告げてしまうし。

 君の本当の願いを神様が叶えてくれるとしたら、私は君を殺すしか方法は無いだろう。でもそれは君も私も神も望まない結果だし。人を本当に好きになるってことはきっと、何も望まないのと同義語で、きっと与えるだけで、きっと只其処に居ればいいと感じているだけで。

 だから私は奪う。物凄くゆっくりと時には急いて。人を好きだという証拠に奪う。関わりを持ちえたという証拠を得るために奪う。





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