情緒



 多分、それを言葉にすると「情緒」ということだろう。  人が物を判断する時に頭の中を巡る色々な思考。それは新しいものであったり古いものであったり。強い意志であったり弱い意思であったり。刹那な思いであったり永遠の思いであったり。本当に色々な思いを掻き分けながら人は判断をしていく。

 取るに足らない事ならば、簡単に答えも出るだろう。しかし自分のもっとも大切な部分にそれが隣接している場合、おいそれと答えは出せずにあれやこれやと悩みだす。そして二者択一の問答の始まりである。

 AかBか。その答が出たら、BなのかCなのか。次は、と頭が回るまで、意識が続くまで、その作業は繰り返される。そして行き着いた先のある場所は。

 それはいわば情緒という人が人として形成されていく過程に蓄積されてきた感情。多分極僅かな人間関係によって築き上げられた感情。そして最も多感で、最もナチュラルで、最もその人である感情。すべての「yes」と「no」はここに収束される。

 そしてその場所は人間の最も強い感情であると共に、もっとも弱い場所でもある。だから滅多に人はその場所を確認しに行く事をしないし、その場所に触れられる事を恐れるし、ましてはその部分を露呈する事など。

 だからこそ、人を愛した時はその情緒たる部分を真っ先に見つけ出し、守る行動に出なくてはいけない。知らないうちにそこを傷つけていれば、それを治す行動に出なくてはいけない。その人がそれを見せてくれるか、或いは見せていたとしても、あなたがそれに気が付くかは別の話として。





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